高齢化社会と成年後見制度

高齢化社会の到来
 私達の国は、国民の4人に1人が65歳以上という超高齢社会を迎えており、今後も早いスピードで高齢者人口が増加し、2050年には3人に1人が65歳以上になることが推計されています。
 厚労省が発表した推計によれば、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人を占める見込みです。

年を取ると
 ところで、年をとって困ることは何でしょうか? 一番先に思い当たるのはケガや病気になることでしょうか。このような時には、皆さんは健康保険制度を利用して医療サービスを受けることができることはご存知のことと思います。
 次に思い当たるのは、体が不自由になり家事などの日常生活が出来なくなることでしょうか。そのような時には、介護保険制度を利用して介護サービスを受けることが出来ることも、すでに皆さんご存じのことと思います。
 しかし、認知症などにより「判断能力」が衰えたり、なくなったりした場合にはどんなことで困り、どのように対応したらよいか、ということについては、ご存じない方が意外に多いようです。

ご自分の判断能力が衰えると
 私たちは、朝起きてから夜寝るまで、毎日さまざまな「契約」をしながら生活しています。スーパーやデパートで買い物をする、レストランで食事をする、映画を観る、バスや電車に乗る…など、ほとんどの行為が契約で成り立っているのです。
 もちろん、施設への入所、入院、不動産の売買・賃貸・新築、銀行や証券会社などの金融機関と取引、保険などはすべて契約が必要となっています。そして、契約を結ぶために必要となるのが判断能力なのです。民法によると、判断能力を欠く者が行った法律行為は無効である、とされています。
 つまり、自分でこれらの契約を行う事ができないあるいは、行なっても認められない可能性があると言うことです。

判断能力が無くなった時にはどのようにして暮らしていけばよいのでしょうか?
 いつまでも元気で、判断能力が十分に維持できていれば問題はないのですが、人間は誰もが年齢とともに、体力だけでなく「脳の働き=判断能力」も衰えてきます。
 認知症だけではなく、知的障害や精神障害などにより、判断能力が衰えて日常生活を送るうえで支障が出てきた場合、あるいは、将来そのような状況になったときの備えを考えている方に活用していただきたいのが成年後見制度です。